研究分野
NEXIPイニシアチブの一環として実施するものであり、原子力イノベーションの創出につながる新たな知見を見出すとともに我が国の原子力技術を支える人材育成と戦略的な基礎・基盤研究の推進を目指し、これまで「基盤チーム型」「ボトルネック課題解決型」「新発想型」「特定課題推進型」4つのメニューにおいて公募を実施してきました。
今年度より、優れた研究者や研究テーマ等を幅広く支援する環境を整備し、原子力科学技術の研究水準の向上を図る観点から原子力の利活用を目指した新規性・独創性・革新性・挑戦性の高い研究課題を支援するため、「基盤チーム型」「ボトルネック課題解決型」「新発想型」を再編し、新たに「大規模チーム」「異分野連携」「若手」3つのカテゴリーからなる「一般課題型」のテーマ・枠組を新設し、公募を実施することとしました。
一般課題型 (大規模チーム)
原子力分野のイノベーション創出に向け、我が国の原子力技術を支える基礎・基盤研究を戦略的に進めるため、アカデミア・企業・研究機関等の研究者で構成するオールジャパン体制のチームを編成し、中~大型の研究開発や社会実装等に取り組む課題提案を支援するカテゴリーです。社会へのインパクトを志向しており、応用研究では研究期間中または終了後に研究成果が直接社会実装に利用されるか、NEXIP事業など社会実装を志向した連携事業に後継されること、基礎・基盤研究ではメカニズムの解明や理論構築など原子力分野の研究を大きく飛躍させ、社会へインパクトを与えることを期待しております。
一般課題型 (異分野連携)
情報科学、医学・薬学、宇宙、原子核物理学など、原子力以外の分野と連携して革新的な成果を目指す研究開発等に取り組む課題提案を支援します。
(原子力分野で培われてきた)過去の条件・経験則や従来の前提・制約にとらわれない新しい発想が提案されること、原子力分野の研究者が異分野の知見を取り入れて原子力分野の技術・学理課題を解決すること、または異分野の研究者が原子力分野の研究者の協力を得て原子力分野の技術・学理課題を解決することを期待しており、原子力分野の技術・学理課題の解決への道筋を明確にすることを求めています。
一般課題型 (若手)
40歳以下の研究者(助教、ポスドクを含む)による原子力分野のイノベーション創出 を目指す挑戦的・ゲームチェンジングな基礎・基盤研究開発を幅広く実施します。研究提 案には探索的性質を持っていても良いが、研究構想の実現に必要な手掛かりが得られ ており、原子力分野における技術・学理課題の解決への筋道が明確であること、応用・実 用研究又は基礎・基盤研究への貢献することを求めています。 本カテゴリーでは、若手研究者が本事業の実施を通じてキャリアアップすることを期 待しています。原子力以外の分野の研究者を含め、多様な分野からの提案を期待します。
特定課題研究推進型
今後の原子力政策についての方向性が「原子力利用に関する基本的な考え方」として令和5年2月28日に閣議決定されました。本メニューはその中で重点的に取り組むべき個別課題に対して、まだ基礎基盤技術が確立されていない研究内容を支援し、解決の糸口となることを目指すものです。具体的なテーマとして以下2つを取り上げます。
【特定課題推進型の具体的なテーマ】
①核燃料物質安定化処理技術等の確立
これまでの研究活動等で生じた多種多様な化学形態の核燃料物質(少量)について、処理方法等が定まっていない状況であるため、安定化処理技術等を確立することで、核燃料物質の迅速かつ容易な処理等を実現することに期待します。
②原子炉を用いた医療用RIの製造/活用
令和4年にアクションプラン※で示された通り、主に医療分野で診断/治療に活用されているラジオアイソトープ(RI)は輸入に多く頼っている状況であり、供給の安定化、経済安全保障の観点からも国産化が望ましいです。そのために、原子炉を用いて国産のラジオアイソトープを効率的に製造できる技術に期待します。
※2022年5月31日原子力委員会医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプラン
研究課題の紹介
令和6年 | |
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令和5年 | |
令和4年 | |
令和3年 | |
令和2年 | |
令和元年 | |
平成30年 | |
平成29年 | |
平成28年 | |
平成27年 | |
平成26年 | |
平成25年 | |
平成24年 | |
平成22年 | |
平成21年 | |
平成20年 | |
平成19年 | |
平成18年 |
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平成17年 |
過去の研究分野
基盤チーム型
「基盤チーム型」は、原子力分野のイノベーション創出に向け、我が国の原子力技術を支える基礎・基盤研究を戦略的に進めるため、重点的に取り組むべき研究テーマに対して、産学官の知見を結集して取り組むチーム型の研究開発を支援するメニューです。基盤チーム課題の例示としては、燃料・材料分野、プラント分野、システム分野、再処理・核変換分野等、幅広い分野を横断的に活用した研究開発を推奨します。研究開発の実施にあたっては、産業界や社会のニーズを的確に捉えた目標を設定し、社会実装へ向けた具体的な計画を立ててください。また、人文社会科学を含め、他分野からの知見を積極的に導入し、異分野融合が推進されることを期待します。
ボトルネック課題解決型
「ボトルネック課題解決型」は、新たな技術の社会実装を目指す上で、ボトルネックとなっている課題に対し、解決を図るための基礎・基盤研究開発を実施します。研究開発の実施に当たっては、社会実装までの道筋を明確に提示し、研究成果や得られた知見が確実に産業界へフィードバックされることが重要であり、そのために必要な研究体制についての検討が求められます。産業界が有する実用化ノウハウ・的確なニーズ把握能力と、学術界が有するより先端的・基礎基盤的な研究開発能力を融合し、将来必要とされる原子力システム実現のボトルネックとなっている課題解決に資する研究開発の実施を期待します。
新発想型
「新発想型」においては、原子力分野のイノベーション創出を目指す挑戦的・ゲームチェンジングな基礎・基盤研究を幅広く実施します。技術の新規性や本研究開発で得られる成果が社会の課題解決にいかにインパクトを与えることが出来るかを重視するメニューです。
安全基盤技術研究開発
我が国の原子力のエネルギー利用においては安全確保を大前提に進められてきましたが、平成23年3月の東北太平洋沖地震に伴う津波による東京電力株式会社(現・東京電力ホールディングス株式会社(以下「東電」という。))福島第一原子力発電所の事故を受け、我が国に存在する原子力システムの更なる安全性向上のための技術開発が必要とされています。そこで、社会的要請を踏まえ、原子力システムの安全性向上に資する基盤技術(以下、「安全基盤技術」という。)の更なる強化・充実を目的とする研究開発を競争的な環境の下で推進します。
また、本研究開発を通じて、安全基盤技術の維持強化、更には継続的な若手研究者等の育成への寄与を期待します。
放射性廃棄物減容・有害度低減技術研究開発
我が国において現在までに原子力発電所等で使用されてきた多数の使用済燃料が使用済燃料プール等で保管されており、これらは将来処理・処分することが必要となりますが、放射性廃棄物に係る種々の技術課題があります。このため、放射性廃棄物の減容及び有害度低減に資する研究開発についても競争的な環境の下で推進します。また、本研究開発を通じて、放射性廃棄物減容・有害度低減技術の強化、更には継続的な若手研究者等の育成への寄与を期待します。