研究分野
平成28年度 国家課題対応型研究開発推進事業 原子力システム研究開発事業 選定課題
安全基盤技術研究開発:計4課題
No. | 提案課題名 | 研究代表者 [所属機関] |
参画機関 | 概要 |
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1 | 破壊制御技術導入による大規模バウンダリ破壊防止策に関する研究 | 笠原 直人 [東京大学] |
日本原子力研究開発機構、防災科学技術研究所 | 破壊制御技術は、設計想定を超える極限荷重の発生時に、被害の小さい壊れ方を先行させることによって荷重やエネルギーを低減させ、破局的な壊れ方を避けることを目指す新しい技術である。これを応用して、第4層に相当する極限状態に対して冷却機能や閉じ込め機能の喪失に繋がる大規模バウンダリ破壊を防止する広義の構造設計法を開発する。 |
2 | 革新的ナトリウム冷却高速炉におけるマルチレベル・マルチシナリオプラントシミュレーションシステム技術の研究開発 | 大島 宏之 [日本原子力研究開発機構] |
広島大学、徳島大学 | 高い安全性と経済性を両立させる設計最適化・革新技術開発を支える安全基盤技術として、マルチレベル・マルチシナリオシミュレーションシステムの構築ならびに、ナトリウム冷却高速炉に特有で安全上重要となるナトリウム燃焼およびナトリウムと構造物コンクリートとの反応性に関する基礎的なコードV&Vのための実験データベースの構築を行う。 |
3 | 原子炉計装の革新に向けた耐放射線・高温動作ダイヤモンド計測システムの開発とダイヤモンドICの要素技術開発 | 金子 純一 [北海道大学] |
産業技術総合研究所、日立製作所、物質・材料研究機構 | 原子炉用耐放射線・高温動作計測システム開発の第一段階として、ダイヤモンドγ線検出器とダイヤモンドFETをもちいた前置増幅器からなる原子炉格納容器雰囲気モニタ(CAMS)プロトタイプを開発する。開発目標は、過酷事故対応で求められる、耐熱温度:230℃以上、積算線量:5MGy以上の達成を目指す。努力目標として可能な限り動作温度:300℃に近づくことを目指す。また、圧力容器内を除く原子炉格納容器内での使用を念頭に、動作温度:500℃、積算線量:10MGyを満たす電子デバイス実現の要となるダイヤモンドIC等の要素技術開発としてダイヤモンド基板上へのキャパシタ、抵抗製作技術等を開発する。 |
4 | 高速炉の安全性向上のための高次構造制御セラミック制御材の開発 | 吉田 克己 [東京工業大学] |
物質・材料研究機構、日本原子力研究開発機構 | スリップキャスティングまたは強磁場配向プロセスを利用した高次構造制御B4C基セラミック制御材の製造技術を新規に開発し、高性能制御材の開発を行い、高速炉の安全基盤技術を発展させることを目的とする。また、開発した制御材について既存の検査技術の適用性の検討及び技術継承を行うとともに、最新の検査技術の適用性等を評価することで高度化を検討し、将来の高速炉制御材に関する安全基盤技術を維持・発展させる。 |
放射性廃棄物減容・有害度低減技術研究開発:計9課題
No. | 提案課題名 | 研究代表者 [所属機関] |
参画機関 | 概要 |
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1 | 安全性・経済性向上を目指したMA核変換用窒化物燃料サイクルに関する研究開発 | 高野 公秀 [日本原子力研究開発機構] |
電力中央研究所、九州大学 | 放射性廃棄物の減容・有害度低減に貢献するマイナーアクチノイド(MA)の核変換に関して、高濃度MA含有に適した窒化物燃料と乾式処理による核変換専用の燃料サイクルの実現を目指し、安全性・経済性向上の観点から燃料製造技術、核変換(燃焼)時の燃料安全性挙動、及び燃料処理技術に関する研究開発を実施し、概念開発段階から工学規模の原理実証段階に進むための技術的見通しを得る。 |
2 | 柔軟性の高いMA回収・核変換技術の開発 | 飯塚 政利 [電力中央研究所] |
京都大学、日本原子力研究開発機構 | 高速炉燃料サイクルに金属燃料-乾式再処理技術を取り込むことにより、幅広い高速炉導入シナリオやプルトニウム(Pu)需給シナリオに柔軟に対応しつつ、軽水炉使用済燃料からPuとマイナーアクチニド(MA)を回収して高速炉で核変換させることによる廃棄物有害度低減の効果を最大化することが可能なMA回収・核変換システムを構築する。 |
3 | MA分離変換技術の有効性向上のための柔軟な廃棄物管理法の実用化開発 | 鈴木 晶大 [日本核燃料開発] |
九州大学、大阪大学、日立GEニュークリア・エナジー、日本原子力研究開発機構 | マイナーアクチニド(MA)分離変換技術の有効性向上を目指し、既存の再処理設備廃液に対して、将来確立されるMA分離変換技術を適用するために、再処理高レベル廃液を安定かつ再生可能な形態である顆粒体で貯蔵する柔軟な廃棄物管理法の実用化開発を行う。ロータリーキルン法顆粒化試験及び加圧/加熱高密度化試験により実用的な顆粒体製造技術の開発を行うとともに、製造した模擬廃棄物顆粒体の基礎特性試験結果を基に、顆粒体貯蔵設備設計、貯蔵廃棄物の材料化学的安定性評価や貯蔵用キャニスタの健全性評価、廃液再生確認試験を行う。また、潜在的有害度低減効果、発熱量低減効果、処分場面積低減効果等の評価を行い、これらの結果を統合的に評価し、柔軟な廃棄物管理システムの実用化に向けた概念仕様を構築する。 |
4 | 高速炉を活用したLLFP核変換システムの研究開発 | 千葉 敏 [東京工業大学] |
東北大学、東京都市大学、日本原子力研究開発機構 | 有害度の高い全ての長寿命核分裂生成物(LLFP)に対し、それらを含む新規の減速材入りターゲット要素を開発し、それを用いるシステムの核変換率、炉心核熱特性、安全性の評価、ターゲットの物性測定、製造技術、LLFP回収技術、核データの高精度評価手法等の要素技術開発を遂行し、全体システムの最適化、照射試験計画策定を行う。また、実用化段階の大型高速炉に対して、本LLFP核変換システムの適用性を評価し、従来に比べて飛躍的に高い効率を有するLLFP核変換システムを開発する。 |
5 | 早期実用化を目指したMA-Zr水素化物を用いた核変換処理に関する研究開発 | 小無 健司 [東北大学] |
日本核燃料開発、大阪大学、三菱FBRシステムズ、ニュークリア・デベロップメント | 既に技術が確立されつつあるNa冷却酸化物燃料高速炉を用い、その炉心の燃料はそのままにして径方向ブランケット領域にMA(マイナーアクチノイド)-Zr水素化物ターゲットを配置することで核変換の効率化とともに早期実用化を目的とする。 |
6 | エマルションフロー法を用いた新しい分離プロセスの研究開発 | 長縄 弘親 [日本原子力研究開発機構] |
- | 高レベル放射性廃液中の多種多様な核種の分離に対応するためのエマルションフロー装置の多段化技術、処理の妨げとなる不溶解残渣等のスラッジを連続的に回収・除去するスラッジ・トラップ技術を開発する。また、エマルションフロー法に特徴的な単分散に近い乳濁状態の性質を活かし、マイナーアクチノイド(MA)の分離等に有効な窒素含有ドナー系抽出剤の弱点である抽出速度の遅さ、分相性の悪さを克服する。 |
7 | 環境負荷低減型軽水炉を使った核燃料サイクル概念の構築 | 平岩 宏司 [東芝エネルギーシステムズ] |
大阪大学、東京工業大学 | 軽水炉の使用済み燃料の減容と有害度低減(減容・有害度低減)は、核燃料サイクル全体においてプルトニウム(Pu)蓄積量のバランスも含めて考える必要がある。本研究では既設軽水炉と次世代軽水炉を対象とし、長期的な減容・有害度低減目標を踏まえた我が国の核燃料サイクル全体の最適な姿を導出する。 |
8 | 交流高温超伝導マグネットと共鳴ビーム取出しを応用した加速器駆動核変換システム用革新的円形加速器の先導研究開発 | 雨宮 尚之 [京都大学] |
- | 放射性廃棄物の有害度を低減する加速器駆動核変換システム(ADS(Accelerator Driven System))の実用化に向けて、小型・低消費電力で、安定した陽子ビームを原子炉に供給できる革新的円形加速器の実現を目指し、そのプロトタイプ開発の見通しを確立するため、具体的かつ定量的な全体目標として、1.5MW(ビームエネルギー1.5GeV、ビーム電流1mA)、消費電力5.0MWの加速器駆動核変換システム用円形陽子加速器の実現見通しを確立する。 |
9 | J-PARCを用いた核変換システム(ADS)の構造材弾き出し損傷断面積の測定 | 明午 伸一郎 [日本原子力研究開発機構] |
高エネルギー加速器研究機構 | ビーム入射窓の候補材となる鉄やアルミからタングステンに亘る幅広い材料における原子あたりの弾き出し数(DPA)断面積をJ-PARCの加速器施設において測定し、計算コードとの比較検討から計算モデルの精度を向上することにより、ADSの構造材等の弾き出し損傷評価の精度向上を狙い、ADSの実現に資する。 |