研究分野
平成26年度 国家課題対応型研究開発推進事業 原子力システム研究開発事業 選定課題
安全基盤技術研究開発: 計2課題
No. | 提案課題名 | 研究代表者 [所属機関] |
参画機関 | 概要 |
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1 | プルトニウム燃焼高温ガス炉を実現するセキュリティ強化型安全燃料開発 | 岡本 孝司 [東京大学] |
日本原子力研究開発機構、原子燃料工業、富士電機 | 本提案は、物理的な固有安全性により炉心溶融事故を引き起こさない高温ガス炉でプルトニウムを燃料として利用する際の核セキュリティリスク低減に資するため、被覆燃料粒子からのプルトニウム回収を極めて困難にするよう化学的に安定なYSZ(イットリア安定化ジルコニア)を用いてPuO2-YSZを燃料核とするとともに、被覆燃料粒子の主な破損原因である核分裂反応に伴う遊離酸素の分圧上昇を抑制するセキュリティ強化型安全燃料を開発し、核熱設計、安全評価、原子炉システム成立性評価を行うものである。プルトニウムインベントリの減少、エネルギー供給におけるセキュリティと安全性の向上に、大きな成果が期待される。 |
2 | 次世代原子炉燃料の健全性評価のための非破壊分析技術の開発 | 中島 健 [京都大学] |
北海道大学、東京都市大学、アールテック、名古屋大学、高エネルギー加速器研究機構 | MA含有TRU燃料の健全性評価のために、パルス中性子・制動X線混在場を用いた総合的な非破壊分析システムを開発し、その実用性を評価する。そのために、核種濃度定量・可視化技術の高度化、物性値の定量・可視化技術の高度化、総合測定システムの開発、並びに、実証試験に基づく測定システムの総合評価を実施する。本研究により、これまでは不可能であった当該燃料の内部状態に関する核的・物性的情報を非破壊で得られるようになる。 |
放射性廃棄物減容・有害度低減技術: 3課題
No. | 提案課題名 | 研究代表者 [所属機関] |
参画機関 | 概要 |
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1 | MA入りPu金属燃料高速炉サイクルによる革新的核廃棄物燃焼システムの開発 | 有江 和夫 [株式会社東芝] |
電力中央研究所、福井大学、京都大学 | 本提案は、放射性廃棄物の減容及び有害度低減に資するため、超ウラン元素(TRU:プルトニウムとマイナーアクチニド)の燃焼効率を極大化できる、ウランを含まないTRU金属燃料高速炉サイクルに関し、燃料健全性、従来の金属燃料サイクル技術の適用性、安全性を確保した炉心技術等について研究開発し、その工学的見通しを得るものである。これにより現状の軽水炉主流時代においても、発生するTRUを最小限の規模の高速炉サイクルにて燃焼でき、環境負荷の早期低減という大きな成果が期待される。 |
2 | ガラス固化体の高品質化・発生量低減のための白金族元素回収プロセスの開発 | 竹下 健二 [東京工業大学] |
名古屋大学、日本原子力研究開発機構 | セラミックス担体にフェロシアン化物を含浸した無機吸着剤を開発して高レベル放射性廃液(HLLW)からのMoと白金族元素の一括回収・個別分離法を確立し、ガラス固化工程の単純化とガラスへのHLLWの高充填化によるガラス固化体発生量の大幅削減、及びRu,Rhなどの有価白金族元素の高効率回収を同時に達成する。 |
3 | 微細構造を制御した高MA含有不定比酸化物燃料の物性予測手法に関する研究 | 田中 康介 [日本原子力研究開発機構] |
大阪大学、ファインセラミックスセンター材料技術研究所 | 本提案は、高濃度MA含有酸化物燃料の製造標準化手法を開発し、物性に及ぼすMA添加の影響を評価することを目的としており、「原料粉末性状と焼結体相状態との相関関係の解明」、「MA燃料製造技術(焼結特性及び燃料の熱的特性に強く影響するO/M比調整)の最適化手法の開発」、「各種物性に及ぼす高濃度MA添加の影響評価」の観点で研究を進め、燃料製造技術及び物性データに及ぼすMA含有の影響を明らかにするものである。本技術は、我が国におけるエネルギー戦略の中軸となる環境負荷低減型核燃料サイクルシステムの構築に不可欠である。また、多様なMAリサイクルシステムの実現にも貢献できるものであり、大きな成果が期待される。 |