(1)研究開発項目
・スリット付き炉上部機構に適用可能な燃料交換機の開発
・燃料集合体を2体同時移送可能なナトリウムポットの開発
・使用済燃料の直接水プール貯蔵に適用する燃料洗浄システムの開発
・TRU燃料輸送時の除熱技術の開発
(3)達成目標
燃料交換機の開発
FSフェーズIIでは原子炉容器のコンパクト化を狙っていることから、回転プラグを小径化可能なスリット付き炉上部機構と整合する燃料取扱い系とする必要がある。また、定検期間を短縮し稼働率を向上させるために、燃料交換期間を14日程度とすることも目標である。ここでは、図3で想定する実用炉の原子炉構造との取り合い条件に合致する燃料交換機概念と概念を成立させるために必要な要素技術を開発する。
期待される成果は、燃料交換機概念図及び技術的成立性の根拠となる要素技術開発データである。
本技術開発課題における具体的な開発要件は以下のとおりである。
・取扱う集合体:炉心燃料集合体、制御棒、遮蔽体を炉心内の所定の位置、中継ポット、移送用ポット間で取扱いができること。
・地震応答:技術検討書記載の入力地震動でも安全機能を有する設備に影響を及ぼさないこと。
・燃料交換速度:約30分で移送用ポットとの間で燃料交換を可能とすること。
ナトリウムポットの開発
原子炉容器と炉外燃料貯蔵槽(EVST)の間の燃料移送に用いる燃料交換作業の高速化に有効な2体同時移送可能なナトリウムポットを開発する。本ナトリウムポットでは異常時の冷却源はナトリウムポットを収納する容器の外面の空気冷却であり、その冷却パスには複数流路の自然循環流動、輻射熱伝達、熱伝導が含まれる複雑なものとなる。異常時にも燃料が十分に冷却され、かつ炉上部機構をコンパクトにできる小径のナトリウムポット概念を開発することが課題である。ここでは、ナトリウムポット概念を構築し、概念を成立させるために必要な要素技術を開発する。
期待される成果は、ナトリウムポット概念及び技術的成立性を示す除熱性能データである。
本技術開発課題における具体的な開発要件は以下のとおりである。
・冷却条件:ナトリウムポット移送中のいかなるポジションで停止した場合にも燃料集合体1体あたり最大22.4kWの発熱量を持つ集合体を、燃料温度を制限温度以下(24時間以内:630℃、24時間以上:600℃)に冷却できること。
燃料洗浄システムの開発
FSフェーズIIでは液体廃棄物量及び固体廃棄物量低減のために、廃液を極力少なくする燃料洗浄方法の導入と使用済燃料を密封缶に封入することなしに水プールに直接浸漬・貯蔵する概念の導入を検討している。炉心燃料は内部ダクト付き集合体であり、ダクト内の滞留ナトリウムを効率よく排出・不活性化し直接水プール貯蔵可能とすることが開発課題である。ここでは、液体廃棄物量を減少させ、かつ効率よく使用済燃料からナトリウムを除去可能なシステム概念を構築し、概念を成立させるために必要な要素技術を開発する。
期待される成果は、ナトリウム除去及び不活性化のシステム概念とシステム評価結果及び技術的成立性を示すナトリウム除去性能データである。
本技術開発課題における具体的な開発要件は以下のとおりである。
・システム概念:燃料取扱い系に洗浄システムを付加し、建屋等を大型化する必要がないコンパクトなシステムとすること。
・システム評価:洗浄後に集合体に金属ナトリウムが残存しないこと。
TRU燃料輸送時の除熱技術の開発
FSフェーズIIではTRUを含有した燃料を炉心燃料として使用することを想定しており、新燃料の発熱量が大きいことが特徴である。ここでは、品質の確保、遮蔽、冷却性、高い輸送効率をバランスさせた新燃料輸送方法を開発する。
期待される成果は、新燃料輸送概念と技術的成立性を示す除熱性能データである。
本技術開発課題における具体的な開発要件は以下のとおりである。
・新燃料発熱量:集合体あたり1〜3kWの範囲
・輸送効率:輸送効率向上のため、できるだけ多くの新燃料(5〜10体程度)を1度に輸送できることを目標とする。
・安全性 :容器は燃料輸送に関する認可を所定の研究開発の後に取得できる見込みを有すること。
(4)前提条件
燃料交換機の開発
・寸法条件:図3に示す寸法取り合い条件で概念を設定する
ナトリウムポットの開発
・寸法条件:図3に示す寸法取り合い条件で概念を設定する
燃料洗浄システムの開発
・燃料集合体コーナー部に上端が開放された内部ダクトを設置した燃料集合体(技術検討書参照)を想定する。内部ダクト下端は、ラッパ管内では閉止されているが、ラッパ管外面へ通じるドレン孔を設置する。
TRU燃料輸送時の除熱技術の開発
・輸送容器外形:外形と重量を船舶(重量125t程度が目安)又は車両(重量25t程度が目安)で輸送できる範囲にすること。