(3)達成目標
本技術開発課題において期待される成果は以下のとおりである。
・以下に示す開発要件及び前提条件を満足する1次主冷却系流量計測システムの仕様を明らかにすること。
・システムの有効性を試験及び評価により示すこと。
・安全保護系に適用できることを実証するための課題を明確にし、解決の見通しを示すこと。
本技術開発課題における具体的な開発要件は以下のとおりである。
・安全保護系及び運転制御系(監視用)に適用可能な流量計として以下の条件を満たすこと。
- 計測範囲:定格重量流量の約0〜130%(定格平均流速:約7〜10m/秒、停止時から過流量条件までを想定)
- 直線性及び再現性:計測範囲の±2%以内(流量センサから流量異常を判定する回路に入力するまでの間)
- 出力信号変動:中央値の±5%以内(流量センサから流量異常を判定する回路に入力するまでの間)
- 応答時間:0.3秒以内(1次遅れ時定数と無駄時間の和。流量センサを経て流量異常を判定する回路からの出力までの間。出力信号変動抑制機能を含む)
- 単一故障影響範囲の限定:想定される単一故障により複数セットの流量センサから流量異常を判定する回路までの機能及び性能に異常が生じないこと
- 流量センサは、2重化された配管系の外管の内部に、安全保護系用として相互に独立4系統の信号が得られるように4セット設置できるものであること。
・1次冷却系配管のナトリウム漏洩防止のための設計コンセプトの一つである、「配管部のナトリウムバウンダリに枝配管、計装ウェル、異材継手を設けない」に適合する流量計測システムとすること。
・配管の大口径化と流路短縮のため、流量センサの上・下流に十分な直管流路(助走区間)をとることができないこと(直管流路の長さは配管口径の5倍程度)から偏流の影響が想定されるが、本システムは偏流の影響を低減できる能力を有するものであること。
・流量センサから制御盤室までの間に必要なケーブル長さ(100m程度)を想定しても、流量センサからの信号減衰が許容範囲であり、安全保護系として信頼性を確保できること。
・流量センサの他、必要な設備の交換寿命は、実用炉で想定される連続運転サイクル期間(18〜26ケ月)以上であること。
・原子炉運転中は2重化された配管系内の気密を保つことができ、流量センサの交換は原子炉停止時に外管全体を取り外さず遠隔でできるものであること。
(4)前提条件
・設置場所:1次冷却系低温側主配管(図1参照)
・配管構造:2重管構造(内管:ナトリウムバウンダリ、外管:窒素ガスバウンダリ)
・内管材質:高クロム鋼
・内管口径:28B(内径 約710mm)〜50B(内径 約1,270mm)
・取り付け位置:配管直管部長さの合計が配管口径の5倍程度であり、取り付け位置は、直管部の適切な位置に設置
・使用ナトリウム温度範囲:200〜530℃(定格温度395℃)