原子力システム 研究開発事業 成果報告会資料集
セル内遠隔設備の開発
(受託者)独立行政法人日本原子力研究開発機構
(研究代表者)滑川 卓志 次世代部門次世代燃料製造システムユニット長
(再委託先)国立大学法人筑波大学
(研究代表者)滑川 卓志 次世代部門次世代燃料製造システムユニット長
(再委託先)国立大学法人筑波大学
1.研究開発の背景とねらい
(1) ペレット成型設備のセル内遠隔保守対応モジュールの開発
FBRサイクル実用化時代の燃料製造施設では、低除染TRU燃料を製造する。これは従来の高除染MOX燃料に比べ高い放射能と発熱性を有するため、従来のグローブボックス方式とは異なり燃料製造機器設備は全てセル内設置となる。そのような燃料製造施設を実現するためには、セル内機器設備の保守補修を遠隔で実施する手順・手法を含めたシステム技術開発が必要である。そこで、同一工程設備内で粉末とペレット成型体を取扱う成型設備(整列部を含む)を代表設備とし、モジュール設備化による遠隔保守対応設備技術を開発する。
FBRサイクル実用化時代の燃料製造施設では、低除染TRU燃料を製造する。これは従来の高除染MOX燃料に比べ高い放射能と発熱性を有するため、従来のグローブボックス方式とは異なり燃料製造機器設備は全てセル内設置となる。そのような燃料製造施設を実現するためには、セル内機器設備の保守補修を遠隔で実施する手順・手法を含めたシステム技術開発が必要である。そこで、同一工程設備内で粉末とペレット成型体を取扱う成型設備(整列部を含む)を代表設備とし、モジュール設備化による遠隔保守対応設備技術を開発する。
(2) セル内遠隔ハンドリング設備の開発
上記設備の遠隔保守を実施するため、遠隔ハンドリング設備側の開発を行い、モジュール化設備との最適な組合せシステム技術を開発する。
上記設備の遠隔保守を実施するため、遠隔ハンドリング設備側の開発を行い、モジュール化設備との最適な組合せシステム技術を開発する。
(3) ペレット検査技術の開発
日産7万個規模で、中空タイプの焼結済みペレットの外観・寸法及び重量測定をセル内で実施し、かつ遠隔保守が可能なペレット検査設備技術を開発する。
日産7万個規模で、中空タイプの焼結済みペレットの外観・寸法及び重量測定をセル内で実施し、かつ遠隔保守が可能なペレット検査設備技術を開発する。
(4) TRU 燃料粉末の分析技術の開発
FBRサイクル実用化時代の燃料製造システムでは、成型工程での原料粉末流動性を改善するため、粉末に水分を添加して造粒する設計としている。成型以降の工程ではプラントの量産性を高めるため乾燥系での取扱としており、臨界管理上、燃料粉末の含水率管理が必要である。また、安定操業の観点からは、粉末特性の異常を早い段階で検知する必要がある。この要求を満たすため、インラインで燃料粉末の移送を妨げることなく迅速に含水率、粒度分布、粉末流動性を測定できる技術を開発する。また、O/M比を測定する技術を開発する。
FBRサイクル実用化時代の燃料製造システムでは、成型工程での原料粉末流動性を改善するため、粉末に水分を添加して造粒する設計としている。成型以降の工程ではプラントの量産性を高めるため乾燥系での取扱としており、臨界管理上、燃料粉末の含水率管理が必要である。また、安定操業の観点からは、粉末特性の異常を早い段階で検知する必要がある。この要求を満たすため、インラインで燃料粉末の移送を妨げることなく迅速に含水率、粒度分布、粉末流動性を測定できる技術を開発する。また、O/M比を測定する技術を開発する。
2.研究開発成果
(1) ペレット成型設備のセル内遠隔保守対応モジュールの開発
①ペレット成型設備の運転、保守及びシステムに必要な要件を設定した。この要件を基に低除染TRU燃料用のペレット成型設備のモジュール化を検討し、小モジュール23、大モジュール14からなるペレット成型設備の概念設計を実施した(図1、2、3)。H20年度は、これらの設計に基づき、ペレット成型設備のうちペレット搬送モジュールの試験機の製作を行い、(2)のセル内遠隔ハンドリング設備の開発試験に供する予定である。
図1 モジュール基本概念例
図2 モジュール概念検討例(成型金型部)
図3 ペレット成型設備モジュール化設備 全体概念図
(2) セル内遠隔ハンドリング設備の開発
① セル内設備を模擬した試験装置として、市販の汎用ロボットアームと遠隔保守移動装置を組み合わせることにより、モジュール交換用遠隔保守マニプレータ・システムの基本システムを製作した。現在、モジュールの着脱操作やクレーンのフッキング操作を半自動で実施できるようにするため、マニプレータ・アームに組み込む自律制御技術の開発とモジュール着脱の試験を実施している(図4)。H20年度はロボットアームの進入動作を補正制御するための3次元位置計測装置の製作を進めている。
② モジュール交換用遠隔保守マニプレータ・システムの運転操作における作業信頼性の向上を図るためマン・マシン・インターフェース(MMI)技術を開発している。移動や把持作業等のマニプレータ操作の模擬試験実施時に心電情報や体温変化等のオペレータの身体情報を採取し、作業負荷(メンタル・ワーク・ロード)を評価しながら、操作者への負荷の少ないMMI設備構成の検討を実施している(図5)。その結果、操作環境の表示方法として、レーザーレンジファインダ等の情報が有効活用できることを確認した。H20年度は、CAD情報にレーザーレンジファインダの情報を組合せた作業状況認識支援ソフトの製作を進めている(図6)。
B セル内で発生するちょっとした工程設備の停止(いわゆる、チョコ停)に対応するセル内設備として、転倒したペレットあるいは移送過程で詰まりを起こしたペレットの姿勢修復を行う遠隔保守ロボットアーム・システムを構築するため、図7に示す試作ロボットアームを製作し、位置情報把握機能の整備、ペレット把持動作の制御技術の確認試験等を実施し自律制御を組込み基本技術を整備した。H20年度は、ペレット搬送装置の試作機を用いた開発試験を進める。
図4 モジュール着脱試験
図5 遠隔操作時の抹消体温変動
図6 LRFによる3次元情報復元
図7 ペレット把持動作用ロットアームの操作
(3)ペレット検査技術の開発
① 低除染TRU燃料ペレットの検査仕様、環境条件、運転保守条件を整理し、要件に合致する市販の測定技術を検討した結果、外観査検及び中空内径測定は画像処理、ペレット外径・高さ測定は画像処理による形状測定、ペレット重量測定は電磁平衡方式天秤をそれぞれ選定した。H20年度は、これらの技術を組み合わせたペレット検査システムの試験機の製作を進めている。(図8、9)
図8 ペレット外観検査設備概念の検討例
図9 ペレット検査システム モジュール配置概念図
(4)TRU燃料粉末の分析技術の開発
① インライン分析設備候補装置の分析技術、環境条件、運転保守条件を整理し、開発要件に合致する市販の技術を検討した結果、水分含有率測定は赤外線吸収法、粒度分布測定は乾式レーザー回折法、粉末物性測定はかさ・タップ密度・安息角測定法をそれぞれ選定した。H20年度は、これらの測定モジュールから構成されるインライン分析装置の試験機の製作を進めている。(図10)
② 遠隔O/M比測定設備
市販の熱天秤とロボットアームを組み合わせ、遠隔操作で微量試料が取扱いできる試験装置を製作した。
H20年度は、模擬粉末を用いた本装置のモックアップ試験を計画中である。(図11)
市販の熱天秤とロボットアームを組み合わせ、遠隔操作で微量試料が取扱いできる試験装置を製作した。
H20年度は、模擬粉末を用いた本装置のモックアップ試験を計画中である。(図11)
図10 インライン分析装置 試験機
図11 遠隔O/M比測定設備試験機 外観
3.今後の展望
①セル内遠隔保守対応モジュール設備及びセル内遠隔ハンドリング設備の開発
平成20年度下期に成型設備の搬送モジュールを製作、平成21年度上期までに成型機本体(フード部を含む)を製作し、セル内遠隔ハンドリング設備を用いたセル内遠隔保守に最適な設備開発を実施していく。
これらの成果をFBRサイクル実用化研究(FaCT)におけるその他のセル内遠隔設備(焼結炉等)の開発に随時反映するとともに、FaCT開発の革新技術の一つであるセル内遠隔設開発の2010年の採否判断の技術的根拠としてとりまとめる。
平成20年度下期に成型設備の搬送モジュールを製作、平成21年度上期までに成型機本体(フード部を含む)を製作し、セル内遠隔ハンドリング設備を用いたセル内遠隔保守に最適な設備開発を実施していく。
これらの成果をFBRサイクル実用化研究(FaCT)におけるその他のセル内遠隔設備(焼結炉等)の開発に随時反映するとともに、FaCT開発の革新技術の一つであるセル内遠隔設開発の2010年の採否判断の技術的根拠としてとりまとめる。
②セル内遠隔保守対応検査・分析技術の開発
平成20年度末までにペレット検査設備・TRU燃料粉末分析設備の試験装置を製作・整備し、それぞれの検査・分析性能及び遠隔保守性を確認しながら、平成21年度末までに低除染TRU燃料を検査分析するセル内遠隔保守対応検査・分析技術を開発する。
これらの成果をFaCT開発におけるその他の検査・分析装置の開発に反映するとともに、2015年の実用プラント設計評価に提示する技術としてとりまとめる。
平成20年度末までにペレット検査設備・TRU燃料粉末分析設備の試験装置を製作・整備し、それぞれの検査・分析性能及び遠隔保守性を確認しながら、平成21年度末までに低除染TRU燃料を検査分析するセル内遠隔保守対応検査・分析技術を開発する。
これらの成果をFaCT開発におけるその他の検査・分析装置の開発に反映するとともに、2015年の実用プラント設計評価に提示する技術としてとりまとめる。