原子力システム研究開発事業「特別推進分野」では、平成22年3月23日(火)から5月6日(木)まで、平成22年度新規研究開発課題を募集します。
JSTは、文部科学省から委託を受け、本事業に関する募集、審査等にかかわる執行管理事務を実施しています。
1.目的
文部科学省は、原子力システム研究開発事業の「特別推進分野」として、平成22年度は、有望な革新的原子力システムの実用化に係わる枢要技術を対象とした課題を募集します。なお、「特別推進分野」として、平成18年度には有望な革新的原子力システム(ナトリウム冷却炉等)の実用化を目的とした課題を募集しました。また、平成21年度には、高速増殖炉の実用化に向けて原型炉「もんじゅ」のデータを活用する課題を募集しました。
文部科学省は、2050年頃の高速増殖炉の実用化を目指し、関係機関と協力して「高速増殖炉サイクル実用化研究開発(以下、「FaCTプロジェクト」という。)」を推進しています。FaCTプロジェクトでは、日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という。)が中心となってナトリウム冷却炉を主概念とした研究開発を進めており、開発目標を満足する概念設計結果を2015年頃までに提示することとしています。昨年、原子力機構において2008年度までのFaCTプロジェクトの成果が中間的に取りまとめられたことから、文部科学省科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会原子力分野の研究開発に関する委員会原子力研究開発作業部会第20回会合(2009年7月1日)において、成果の進捗状況を審議し、「2011年度からの概念設計の本格化に先立ち、大学等の知見も活用し2010年度よりその開発に着手すべき課題」を抽出しました。これらの課題のうち、研究機関や大学等で蓄積されている多くの知見や技術の有効活用が期待できる高速増殖炉の安全性と信頼性の向上に関する課題を募集します。
2.公募概要
募集する研究開発課題の概要は以下のとおりです。
【課題1】炉心損傷時の炉心物質再配置挙動評価手法の開発
FaCTプロジェクトにおいて概念設計検討を進めているナトリウム冷却型高速増殖炉(実用炉)(以下、「JSFR」という。)は、仮想的な緊急炉停止(スクラム)失敗事故事象として炉心損傷事故を想定した場合でも再臨界による原子炉容器の破損を回避して炉心物質の原子炉容器内保持を達成する安全性向上技術の採用を目指しています。本研究開発課題は、この炉心損傷事故時の炉心物質再配置挙動に関する評価手法を開発することを目的として募集します。
【課題2】崩壊熱除去系に対する自然循環除熱評価手法の開発
FaCTプロジェクトにおいて概念設計検討を進めているJSFRは、崩壊熱除去時にナトリウム系統の自然循環を活用した受動的炉心冷却を実現する安全性向上技術の採用を目指しています。本研究開発課題は、この自然循環挙動に関する評価手法を開発することを目的として募集します。
【課題3】蒸気発生器伝熱管破損伝播事象の解析評価手法の開発
FaCTプロジェクトにおいて概念設計検討を進めているJSFRは、信頼性向上技術の一つとして、蒸気発生器伝熱管破損時に発生するナトリウム-水反応による伝熱管破損伝播の可能性を低減する概念の採用を目指しています。本研究開発課題は、上記の伝熱管破損伝播挙動に関する解析評価手法を開発することを目的として募集します。
【課題4】確率論的安全評価手法(レベル1PSA)の開発
FaCTプロジェクトにおいて設計検討を進めているJSFRは、安全性の設計目標の一つとして、炉心損傷頻度を10-6/炉年以下とすることを目指しています。本研究開発課題は、炉心損傷頻度を評価するための確率論的安全評価手法(レベル1PSA)の開発を目的として募集します。
採択予定数、研究開発期間及び研究開発に要する経費は下記のとおりです。
○採択予定数: 研究開発課題ごとに1件程度(合計4件程度)
○期間: 原則4年
○経費: 1件当たり、総額最大4億円程度とします。ただし、大規模な試験の実施などにより、本事業の総額(4年間で16億円程度)の範囲内において4億円を超えることも可能としますが、応募時には説明資料を添付いただきます。この研究開発に要する経費は、研究開発に係る直接経費と直接経費の30%である間接経費で構成されます。
3.スケジュール
○3月23日(火): 募集開始
○3月30日(火)14時〜16時: 募集説明会
富士ソフト アキバプラザ(6階セミナールーム1)
〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフト秋葉原ビル
TEL: 03-5209-6285 FAX:03-5209-5261
http://www.fsi.co.jp/akibaplaza/cont/info/access.html
※上記の連絡先は説明会会場のものです。また、応募者に本説明会への出席の義務はありません。
○5月6日(木)16時: 募集締め切り
※ e-Rad(府省共通研究開発管理システム)を通じて、応募してください。
○5月上旬〜5月下旬: 書類審査
○6月上旬: ヒアリング審査
※ 書類審査において選定された課題のみ実施します。
○6月下旬: 課題選定
○7月末: 契約締結及び事業開始
4.募集要項等
○平成22年度「原子力システム研究開発事業」−特別推進分野−募集要項(PDF:1.51MB)
○平成22年度「原子力システム研究開発事業」−特別推進分野−応募書類(WORD:191KB)