原子力システム研究開発事業−特別推進分野−中間評価 総合所見公表用
1.研究開発課題名
過渡時の自然循環による除熱特性解析手法の開発
2.研究開発の実施者
機関名:三菱FBRシステムズ株式会社 | 代表者氏名:渡辺 収 |
機関名:電力中央研究所 | 代表者氏名:江口 譲 |
機関名:日本原子力研究開発機構 | 代表者氏名:上出 英樹 |
3.研究開発の概要
大型炉では崩壊熱除去運転のために、炉上部プレナムに崩壊熱除去(DRACS)用熱交換器(DHX)が組み込まれ、ポンプ組込型中間熱交換器(IHX)の入口プレナム内には崩壊熱除去(PRACS)用熱交換器(PHX)が組み込まれている。また、1次系は2ループで、大口径かつ短尺の配管が用いられている。このような体系では、自然循環時に局所的な温度成層や偏流等が発生しやすく、構造物に厳しい温度分布や温度振動が加わる可能性がある。また、1次系ループ間での逆位相の流動振動やDRACSとPRACS間での熱的な干渉等も自然循環時の課題として考えられる。さらに、外部電源が喪失する全ての過渡事象に自然循環崩壊熱除去が適用されることになるため、十分に過渡現象を評価して、その安全性や信頼性を見極めておく必要がある。
本研究では、大型炉の1次系の挙動を再現可能なシステム水試験と炉心から空気冷却器に至る一連の熱輸送系を模擬したナトリウム試験を実施することによって、上述した熱流動上の課題を摘出し、解決を図る。これに基づいて大型炉の自然循環除熱挙動を予測評価できる解析評価技術を開発する。具体的には、従来の1次元評価手法の改良に加え、原子炉容器及び1次系各部で発生する温度成層化や偏流現象を評価できる3次元の評価手法を開発する。また、安全審査で重要となる炉心高温点(ホットスポット)の評価手法を開発する。
4.研究開発予算
平成18年度 | 115,204千円 |
平成19年度 | 441,745千円 |
平成20年度 | 217,345千円 |
平成21年度(予定) | 133,795千円 |
5.研究開発期間
平成18年10月 〜 平成22年3月 (4年計画)
6.平成19年度までの目標
【研究開発項目1】試験条件及び評価手法の設定
(1) 試験条件の設定
① 試験条件設定のための解析
(平成18年度) 試験条件を設定するために、既存の1次元自然循環手法を用いて、大型炉の原子炉トリップ事象を対象とした解析を行い、システム水試験及びナトリウム試験で模擬すべき大型炉の過渡条件を検討する。
② システム水試験条件の設定
(平成18年度) これまでの知見に基づいて自然循環崩壊熱除去時に想定される熱流動課題を検討する。また、自然循環運転事象をシステム水試験で模擬するための試験方法を検討する。これらに基づいて、システム水試験装置の基本的な仕様と試験条件をまとめる。
(平成19年度) 平成18年度のシステム水試験条件の検討結果に基づき、システム水試験での各模擬事象について、試験手順を具体的に検討する。
③ ナトリウム試験条件の設定
(平成18年度) 既設のナトリウム試験装置に設置するPRACSを含む試験部の基本的な仕様と試験条件をまとめる。
(2) 評価手法の設定
① 1次元自然循環評価手法
(平成18年度) 既存の1次元自然循環評価手法について、大型炉の自然循環除熱挙動を評価する上での解析モデル上の課題を摘出するとともに、その改良方法を検討する。
② 3次元自然循環評価手法
(平成18年度) 大型炉の炉心、原子炉容器及び1次冷却系を3次元でモデル化する評価手法を開発するため、既存の3次元解析コードを比較検討し、大型炉の自然循環評価に適したものを選定する。また、3次元自然循環評価手法の開発方法を検討する。
③ 炉心高温点評価手法
(平成18年度) 炉心健全性評価の観点で工学的安全係数を考慮した燃料被覆材最高温度を評価する炉心高温点評価手法について、自然循環に関して重要と考えられる熱流動上の知見を調査し、燃料被覆管最高温度に影響を及ぼす、自然循環時の主要因子を検討する。また、これらを踏まえて、炉心高温点評価手法の開発方法を検討する。
【研究開発項目2】システム水試験
(平成18年度) 試験条件設定のための解析等に基づいて、大型炉の原子炉及び1次系を模擬したシステム水試験装置の基本設計及び製作設計を行う。
(平成19年度) システム水試験装置の製作及び据付作業を行い、当該装置の主要機器に対して、その基本性能を確認するための試運転を行う。また、当該装置の運転性能を確認するために、代表的な1事象に対して模擬試験を行う。得られた試験データより、主要機器の性能評価及びシステム全体挙動の評価を行う。
【研究開発項目3】ナトリウム試験
(平成19年度) 崩壊熱除去系の過渡挙動の把握を目的とし、既設のナトリウム試験装置に設置する試験部の詳細構造を決めるための設計検討を行い、試験部を製作する。
【研究開発項目4】解析評価技術の開発
(1) 1次元自然循環評価手法
(平成19年度) 1次元自然循環評価手法の改良部分(原子炉容器、ポンプ組込型IHX、ホットレグ配管、コールドレグ配管)に関するモデルの仕様を検討し、各々の1次元モデルを改良する。また、改良された1次元モデルの解析機能を確認する。
(2) 3次元自然循環評価手法
(平成19年度) 大型炉を対象として3次元部分モデル(原子炉容器、ポンプ組込型IHX、ホットレグ配管、コールドレグ配管)の仕様を検討し、各々の3次元モデルを作成する。作成された3次元モデルの解析機能を確認する。また、システム水試験装置の1次系を対象とした3次元部分モデルを作成し、解析機能を確認する。
(3) 炉心高温点評価手法
(平成19年度) 評価に必要なホットスポットファクターについて、具体的な構成因子の検討を行うとともに、その影響を定量化するための解析検討を行い、炉心高温点評価手法のベースを構築する。また、大型炉への適用に向けた課題について検討する。さらに、既存の炉心部熱流動解析コードを、大型炉心の評価に必要な大規模計算に適用できるよう整備する。
7.これまでに得られた成果
【研究開発項目1】試験条件及び評価手法の設定
[現在までの実績と成果]
[現在までの実績と成果]
(1) 試験条件の設定
① 試験条件設定のための解析
試験条件を設定するために、大型炉を対象として、安全性(炉心・燃料の健全性及び原子炉冷却材バウンダリの健全性)確保の観点及び構造健全性(熱過渡)確保の観点から重要と考えられる事象を摘出し、既存の1次元自然循環評価手法を用いて解析した。その結果、完全自然循環式崩壊熱除去系を採用した場合でも十分な炉心冷却が可能であり、熱過渡についても緩和される傾向にあることが分かった。また、システム水試験で模擬すべき過渡事象を設定した。
試験条件を設定するために、大型炉を対象として、安全性(炉心・燃料の健全性及び原子炉冷却材バウンダリの健全性)確保の観点及び構造健全性(熱過渡)確保の観点から重要と考えられる事象を摘出し、既存の1次元自然循環評価手法を用いて解析した。その結果、完全自然循環式崩壊熱除去系を採用した場合でも十分な炉心冷却が可能であり、熱過渡についても緩和される傾向にあることが分かった。また、システム水試験で模擬すべき過渡事象を設定した。
・基本となる過渡事象 | :手動トリップ、外部電源喪失 |
・1次系(2ループ)の運転が非対称となる事象 | :1次ポンプ1台軸固着 |
・1次系ループの冷却が非対称となる事象 | :2次系あるいは崩壊熱除去系の異常等 |
ナトリウム試験では、PRACSの伝熱性能を確認した上で、外部電源喪失を対象とした試験を実施することとした。
② システム水試験条件の設定
自然循環試験を実施するに当たり、対象とする大型炉の特徴を踏まえて、主要な熱流動課題を整理した。また、各々の課題に対しては、過去に行われた自然循環試験結果等に基づいて、対策に関する具体的な検討手順を策定した。
水試験では、ナトリウムを水で置き換えて、実現象と相似な伝熱流動状態を実現する。このために、実機状態を再現するための相似則を導出し、その模擬可能範囲や限界を明らかにした。これらに基づいて、システム全体に対する模擬試験の考え方を整理した。
システム水試験装置の基本的な仕様及び試験条件を設定した。
自然循環試験を実施するに当たり、対象とする大型炉の特徴を踏まえて、主要な熱流動課題を整理した。また、各々の課題に対しては、過去に行われた自然循環試験結果等に基づいて、対策に関する具体的な検討手順を策定した。
水試験では、ナトリウムを水で置き換えて、実現象と相似な伝熱流動状態を実現する。このために、実機状態を再現するための相似則を導出し、その模擬可能範囲や限界を明らかにした。これらに基づいて、システム全体に対する模擬試験の考え方を整理した。
システム水試験装置の基本的な仕様及び試験条件を設定した。
・試験の模擬方法 | : | 実機の1/10縮尺、実機の圧力損失分布と一致(Eu数相似)、Bo1/2数は実機の約3倍。 |
・試験装置の基本仕様 | : | 定格時における出力120kW、水の温度上昇度9.3℃。 |
・試験項目 | : | 外部電源喪失、2次ナトリウム漏えい、崩壊熱除去系の2次ナトリウム漏えい、その他課題解決のための試験。 |
以上に基づき、システム水試験での各模擬事象について、定常から過渡試験に至る運転方法を明確にした。次に、これまでに実施されてきた自然循環崩壊熱除去解析結果に基づき、模擬事象毎に、過渡変化の特徴、試験模擬方法、主要評価項目及び試験上の課題を整理した。
③ ナトリウム試験条件の設定
大型炉のPRACSの設計に基づいて、既設のナトリウム試験装置に設置するPRACSの試験条件を設定し、PRACSを含む試験部の構造を検討した。また、崩壊熱除去系の2次ナトリウム系、空気系の自然循環を縮尺約1/8のRi数相似条件で模擬できるよう系統構成を検討し、PRACS熱交換器の除熱特性、系統自然循環に関する試験計画を策定した。
大型炉のPRACSの設計に基づいて、既設のナトリウム試験装置に設置するPRACSの試験条件を設定し、PRACSを含む試験部の構造を検討した。また、崩壊熱除去系の2次ナトリウム系、空気系の自然循環を縮尺約1/8のRi数相似条件で模擬できるよう系統構成を検討し、PRACS熱交換器の除熱特性、系統自然循環に関する試験計画を策定した。
(2) 評価手法の設定
① 1次元自然循環評価手法
大型炉の自然循環を含む種々の過渡事象を評価する観点から、現状の1次元自然循環評価手法が必要であることを明確にした。大型炉の評価に当たり、改良が必要な部位として、プレナム部(炉上部及び下部、IHX上下)、大口径配管、熱交換部及び炉心ホッテストピンを摘出し、これらの部位について改良方針を設定するとともに、改良方法を具体化した。
大型炉の自然循環を含む種々の過渡事象を評価する観点から、現状の1次元自然循環評価手法が必要であることを明確にした。大型炉の評価に当たり、改良が必要な部位として、プレナム部(炉上部及び下部、IHX上下)、大口径配管、熱交換部及び炉心ホッテストピンを摘出し、これらの部位について改良方針を設定するとともに、改良方法を具体化した。
② 3次元自然循環評価手法
原子炉容器を含む1次冷却系を全て3次元でモデル化する評価手法を開発するため、既存の3次元熱流動解析コードの候補として、5つの解析コード(STAR-CD、FLUENT、u-FLOW、APUS、CFD++)を選定し、それらの機能を比較するとともに、性能確認を目的とした同一モデルでの比較解析を行った。これに基づいて、大型炉の自然循環評価に適用する3次元熱流動解析コードとして、STAR-CDを選定した。また、大型炉の1/4セクタを対象とした3次元モデルを作成し、試解析を行った。その結果、8〜16CPU程度の並列計算機を用いることにより、フルセクタ2ループモデルでの解析が現実的な演算時間で実行可能な見通しを得た。
原子炉容器を含む1次冷却系を全て3次元でモデル化する評価手法を開発するため、既存の3次元熱流動解析コードの候補として、5つの解析コード(STAR-CD、FLUENT、u-FLOW、APUS、CFD++)を選定し、それらの機能を比較するとともに、性能確認を目的とした同一モデルでの比較解析を行った。これに基づいて、大型炉の自然循環評価に適用する3次元熱流動解析コードとして、STAR-CDを選定した。また、大型炉の1/4セクタを対象とした3次元モデルを作成し、試解析を行った。その結果、8〜16CPU程度の並列計算機を用いることにより、フルセクタ2ループモデルでの解析が現実的な演算時間で実行可能な見通しを得た。
③ 炉心高温点評価手法
炉心燃料健全性評価では、工学的安全係数を考慮して燃料被覆材最高温度を評価する必要がある。この炉心高温点評価手法について、国内外の既往の研究成果に基づいて、炉心高温点評価に対する影響因子を網羅的に抽出し、自然循環時に発生する熱流動現象との関係を明らかにした。
これらに基づいて、炉心高温点評価手法の開発手順を以下のとおり設定した。
炉心燃料健全性評価では、工学的安全係数を考慮して燃料被覆材最高温度を評価する必要がある。この炉心高温点評価手法について、国内外の既往の研究成果に基づいて、炉心高温点評価に対する影響因子を網羅的に抽出し、自然循環時に発生する熱流動現象との関係を明らかにした。
これらに基づいて、炉心高温点評価手法の開発手順を以下のとおり設定した。
・浮力による炉心温度平坦化現象の評価の取り込み。
・影響因子(ピーキング/ホットスポットファクタ含む)の過渡現象への適用に関する考え方の整理。
・既存体系への適用・定量評価、大型炉への適用。
【研究開発項目2】システム水試験
[現在までの実績]
[現在までの実績]
(1) 試験装置の設計
試験条件設定のための解析等に基づいて、大型炉の原子炉及び1次系を模擬したシステム水試験装置の基本設計及び製作設計を行った。本試験装置は、大型炉の1/10スケールモデルであり、大型炉と同様に1次冷却系を2ループとし、原子炉容器、IHX及びこれらを結ぶ1次冷却系配管、崩壊熱除去系の熱交換器として原子炉容器の上部プレナム内に設置するDHX及びIHXに内蔵するPHXから構成されるものとした。また、除熱源としてIHXの2次側に冷却水を供給する2次冷却系、原子炉容器の上部プレナム内に設置したDHX及びIHXに内蔵するPHXから成る崩壊熱除去系、並びに崩壊熱除去系に冷却水を供給する補助冷却系を設けた。
試験条件設定のための解析等に基づいて、大型炉の原子炉及び1次系を模擬したシステム水試験装置の基本設計及び製作設計を行った。本試験装置は、大型炉の1/10スケールモデルであり、大型炉と同様に1次冷却系を2ループとし、原子炉容器、IHX及びこれらを結ぶ1次冷却系配管、崩壊熱除去系の熱交換器として原子炉容器の上部プレナム内に設置するDHX及びIHXに内蔵するPHXから構成されるものとした。また、除熱源としてIHXの2次側に冷却水を供給する2次冷却系、原子炉容器の上部プレナム内に設置したDHX及びIHXに内蔵するPHXから成る崩壊熱除去系、並びに崩壊熱除去系に冷却水を供給する補助冷却系を設けた。
(2) 試験装置の製作
大型炉の1次系全体(2ループ)と相似な1/10縮尺モデル水試験装置を製作し、電力中央研究所地球工学研究所への据付を完了した。据付完了後、予め定めた試験要領に基づき試験装置各部の動作試験を行い、異常なく運転ができることを確認した。
大型炉の1次系全体(2ループ)と相似な1/10縮尺モデル水試験装置を製作し、電力中央研究所地球工学研究所への据付を完了した。据付完了後、予め定めた試験要領に基づき試験装置各部の動作試験を行い、異常なく運転ができることを確認した。
(3) 試験の実施
システム水試験装置の主要機器に対して、炉心部の圧力損失試験、IHX・DHX・PHX伝熱特性試験により、その基本性能を確認した。システム水試験装置全体の機能を確認するため、システム水試験装置を構成する炉心や冷却系の過渡運転方法を設定した。また、代表的な自然循環運転事象として外部電源喪失について、定常から過渡に至る模擬試験を実施した。
システム水試験装置の主要機器に対して、炉心部の圧力損失試験、IHX・DHX・PHX伝熱特性試験により、その基本性能を確認した。システム水試験装置全体の機能を確認するため、システム水試験装置を構成する炉心や冷却系の過渡運転方法を設定した。また、代表的な自然循環運転事象として外部電源喪失について、定常から過渡に至る模擬試験を実施した。
(4) 主要機器性能評価
主要機器に対する基本性能を確認するための試運転結果に基づき、炉心圧損、熱交換器の伝熱性能等機器単体での性能を評価した。炉心圧損の設計値に対するズレは、10%以内に収まった。IHXは、ほぼ設計どおりの伝熱性能を有することが確認された。DHX及びPHXの伝熱性能は設計値を上回ったが、2次側の冷却水温度を上げて1次側との温度差を縮めることにより、目標どおりの除熱量が得られることを確認した。
主要機器に対する基本性能を確認するための試運転結果に基づき、炉心圧損、熱交換器の伝熱性能等機器単体での性能を評価した。炉心圧損の設計値に対するズレは、10%以内に収まった。IHXは、ほぼ設計どおりの伝熱性能を有することが確認された。DHX及びPHXの伝熱性能は設計値を上回ったが、2次側の冷却水温度を上げて1次側との温度差を縮めることにより、目標どおりの除熱量が得られることを確認した。
(5) システム全体評価
外部電源喪失模擬試験データを評価し、定格態では1次系各ループや配管の流量や温度が設計値とほぼ等しくなり、過渡試験の初期条件として十分にバランスが取れた状態が実現できることを確認した。また、過渡状態では、強制循環喪失後、定格運転条件の約3%に相当する高い自然循環流量が確保されることや、炉上部プレナムや炉容器下部プレナムで温度成層化現象が予測通り発生することを確認した。これらにより、定常、過渡試験を通じてシステム全体をほぼ設計通りに運転することが可能なことを確認した。
外部電源喪失模擬試験データを評価し、定格態では1次系各ループや配管の流量や温度が設計値とほぼ等しくなり、過渡試験の初期条件として十分にバランスが取れた状態が実現できることを確認した。また、過渡状態では、強制循環喪失後、定格運転条件の約3%に相当する高い自然循環流量が確保されることや、炉上部プレナムや炉容器下部プレナムで温度成層化現象が予測通り発生することを確認した。これらにより、定常、過渡試験を通じてシステム全体をほぼ設計通りに運転することが可能なことを確認した。
【研究開発項目3】ナトリウム試験
[現在までの実績]
[現在までの実績]
(1) 試験装置の設計
崩壊熱除去系のPRACS伝熱管を内部に設置したIHXについて、PRACSが起動した際の過渡的な熱流動現象を模擬し、これを計測できるよう伝熱管の配置形状、計測点配置を定め、試験部としての設計を行った。
また、崩壊熱除去系の起動時を含む自然循環特性を模擬できるよう、バルブ、流量計の圧力損失を低減した系統構成、機器仕様を設計した。これらにより、既設のナトリウム試験装置に設置する試験装置の設計を実施した。
崩壊熱除去系のPRACS伝熱管を内部に設置したIHXについて、PRACSが起動した際の過渡的な熱流動現象を模擬し、これを計測できるよう伝熱管の配置形状、計測点配置を定め、試験部としての設計を行った。
また、崩壊熱除去系の起動時を含む自然循環特性を模擬できるよう、バルブ、流量計の圧力損失を低減した系統構成、機器仕様を設計した。これらにより、既設のナトリウム試験装置に設置する試験装置の設計を実施した。
(2) 試験装置の製作
上記の設計に基づき、PRACS試験機器として試験部、バルブ、流量計を製作した。製作における各段階で、耐圧試験、ヘリウムリーク試験などにより、内部構造物を含む溶接部の健全性を確認した。PRACS伝熱管周辺における熱電対の設置状況については、製作後には目視できなくなるため、1次側入口プレナム製作時に確認した。全体組み立て後の耐圧試験、寸法検査により、製作完了を確認した。
上記の設計に基づき、PRACS試験機器として試験部、バルブ、流量計を製作した。製作における各段階で、耐圧試験、ヘリウムリーク試験などにより、内部構造物を含む溶接部の健全性を確認した。PRACS伝熱管周辺における熱電対の設置状況については、製作後には目視できなくなるため、1次側入口プレナム製作時に確認した。全体組み立て後の耐圧試験、寸法検査により、製作完了を確認した。
【研究開発項目4】階席評価技術の開発
[現在までの実績]
[現在までの実績]
(1) 1次元自然循環評価手法
原子炉容器上部プレナム部、原子炉容器下部プレナム部、ポンプ組込型IHXの上部・下部プレナム部及び配管部について、自然循環評価において重要となる温度成層化や対流混合の効果を模擬できるように1次元部分モデルを改良した。また、改良した各々の1次元部分モデルについて試計算を行い、その解析機能に問題がないことを確認した。
原子炉容器上部プレナム部、原子炉容器下部プレナム部、ポンプ組込型IHXの上部・下部プレナム部及び配管部について、自然循環評価において重要となる温度成層化や対流混合の効果を模擬できるように1次元部分モデルを改良した。また、改良した各々の1次元部分モデルについて試計算を行い、その解析機能に問題がないことを確認した。
(2) 3次元自然循環評価手法
大型炉を対象として3次元部分モデル(原子炉容器、ポンプ組込型IHX、ホットレグ配管、コールドレグ配管)の仕様を具体化し、各々の3次元部分モデルを作成した。また、作成された3次元部分モデルについて、定格運転状態と過渡状態を対象とした試計算を行い、その解析機能に問題がないことを確認した。原子炉容器単体モデルでは自然循環状態での時間刻み幅を0.3秒とした時の600秒間の計算時間が19CPU並列計算で1.5日程度であり、現実的な演算時間内で過渡自然循環現象の解析が可能な見通しを得た。
システム水試験装置の1次系を対象とした原子炉容器、IHX、HL配管、CL配管についての3次元部分モデルを作成した。また、作成された3次元部分モデルについて、定格運転状態と過渡状態を対象とした試計算を行い、その解析機能に問題がないことを確認した。原子炉容器単体モデルでは自然循環状態での時間刻み幅を0.2秒とした時の50秒間の計算時間が2CPU並列計算で10時間程度であり、現実的な演算時間内で過渡自然循環現象の解析が可能な見通しを得た。
大型炉を対象として3次元部分モデル(原子炉容器、ポンプ組込型IHX、ホットレグ配管、コールドレグ配管)の仕様を具体化し、各々の3次元部分モデルを作成した。また、作成された3次元部分モデルについて、定格運転状態と過渡状態を対象とした試計算を行い、その解析機能に問題がないことを確認した。原子炉容器単体モデルでは自然循環状態での時間刻み幅を0.3秒とした時の600秒間の計算時間が19CPU並列計算で1.5日程度であり、現実的な演算時間内で過渡自然循環現象の解析が可能な見通しを得た。
システム水試験装置の1次系を対象とした原子炉容器、IHX、HL配管、CL配管についての3次元部分モデルを作成した。また、作成された3次元部分モデルについて、定格運転状態と過渡状態を対象とした試計算を行い、その解析機能に問題がないことを確認した。原子炉容器単体モデルでは自然循環状態での時間刻み幅を0.2秒とした時の50秒間の計算時間が2CPU並列計算で10時間程度であり、現実的な演算時間内で過渡自然循環現象の解析が可能な見通しを得た。
(3) 炉心高温点評価手法
自然循環特性を考慮し、以下の3つのステップで解析評価する過渡時の炉心高温点評価手順を構築した。
自然循環特性を考慮し、以下の3つのステップで解析評価する過渡時の炉心高温点評価手順を構築した。
Step1:プラント動特性解析(燃料集合体1体を1次元チャンネルで模擬。ホッテストチャンネルを同定)
Step2:プラント動特性解析(ホッテストチャンネル内最高温度(集合体断面平均相当)、Step3の境界条件取得)
Step3:ホッテスト集合体内多次元流動解析(ホッテスト集合体内最高温度点の評価)及びホッテスト集合体内最高温度簡易評価
また、各ステップで評価に取り込むべきホットスポットファクターについて、具体的な構成因子の検討を行うとともに、炉心燃料集合体を対象とした3次元解析を行い、一部について構成因子の影響の定量化を行った。これらにより炉心高温点評価手法のベースとしての骨格を整え、開発の方向性を定めた。また、大型炉への適用に向けて、初期炉心状態の適切な分類、保守側となる条件の確認など課題を摘出した。さらに、既存の炉心部熱流動解析コードについて、大型炉心評価に適用するための入力データなどを整備し、試計算によりその妥当性を確認した。
8.中間評価の過程における主な指摘事項
【全体】
・全体的に、開発は順調に進んでいる。
・今後、各種の水試験、ナトリウム試験を実施することになっているが、両試験とも十分に試験条件を吟味し、「テスト・マトリックス」(試験条件一覧表)などにより、抜けのない計画としてもらいたい。
【研究開発項目1】試験条件及び評価手法の設定
・品質管理上の要求により、ソフトウエアの品質管理が重要となっているので、ソフトウエアについてのドキュメントを整備しておくよう図られたい。
・解析と実験をうまく組み合わせて、検証しながら目的を達成しようとしており、適切である。
【研究開発項目2】システム水試験
・システム水試験で得られた結果をナトリウム系へ換算する方法が重要なポイントとなるが、それについてのノウハウを蓄積することが大切である。
・システム水試験では、可能な限り流況を可視化し、現象の把握に努めてもらいたい。
【研究開発項目3】ナトリウム試験
・ナトリウムと金属配管の間のぬれ性や表面での粘着性などは100℃〜880℃の間で大きく変わる。このことが熱流動にどう影響するかについての知見の蓄積が重要となるので、これを考慮に入れて実験を進めてもらいたい。
【研究開発項目4】解析評価技術の開発
・3次元コードとして市販のコードを適用している。市販のコードは使い勝手はよいが、ブラックボックスの部分があるのでモデルの検討や独自の改良に制限がある。次のステップでは、是非専用の3次元コードを開発してもらいたい。
・3次元手法による解析結果を1次元手法へ反映してゆくプロセスを明確にしながら、開発を継続してもらいたい。
9.中間評価結果
・全体的に試験、解析コードの開発、試験と解析結果の検証・評価共に目標達成に向けて、着実な進捗がなされていると思われる。
10.総合評価
○ | a(継続すべき) |
b(継続すべきだが、計画について調整の必要がある) | |
c(継続すべきだが、計画の一部見直しの必要がある) | |
d(継続するためには、計画の大幅な見直しの必要がある) | |
e(継続すべきではない) |